長岡是好日

2016.11.18

釣りデビュー


11月7日は立冬。
朝夕の底冷えにも慣れたころ、昼間の陽射しが柔らかく優しい。
晩秋の長岡市。
山並みは穏やかに紅葉し田んぼの畔(あぜ)や土手沿いは土やススキの灰色・茶色と、毎年ながら幅を利かせる「セイタカアワダチソウ」の黄色とでコントラストが結構美しい。
(僕にとっての)長岡の原風景だ。来月の今ごろには霙(みぞれ)に降られて濡れそぼっているのだろう。
もうすぐ冬がやってくる。

先日、釣りデビューをした。
初の海釣り。
「新潟に戻って来たからにはアウトドアを堪能せねば」と2年前、勇んで買ったアジ釣りセットを結局一度も使うことなく放ったらかしにしていたのだが、いよいよ友人が(見兼ねて)誘ってくれたのだった。
長岡市街地から車で約50分かけて寺泊某所へ。
現地に着いて驚いた。
すでに20人以上の先客が防波堤にズラリ。
寒風吹きすさぶ中、魚の動きが活発になると言われる朝方まで釣り続ける強行軍だ。
各々、黙々とアタリを待っている。午前2時である。
勇ましい。
寒空の下で一晩中じっとして過ごせるような防寒具は持っていなかったので、スキーウェアで参戦した。
友人をはじめ諸先輩方は一様に渋い原色のレインジャケットを召している。
ドレスコードを間違えたような恥ずかしさを感じたが全くの杞憂。
皆さんが見つめるのは目の前のウキ一つだ。

友人が手早く仕掛けを作ってくれ、早々に釣り人の仲間入りをすることができた。
糸を垂らして30分ほど、小さなアジが釣れた。
おお、楽しい。
また一匹、また一匹と釣れ始めるうちにお隣さんが声を掛けてくれたり温かいコーヒーを淹れてくれたりと、魚が釣れなくたってその場にいるだけで楽しい。
もっと早くにやりたかったのだが、道具の使い方も釣りスポットも分からないし、一人だとどうにもやる気が起きなかったというか・・。
友人と疎遠になった—というわけではないが、年を重ねると家庭を持ったり仕事の都合で以前のようには過ごせないことも多い。
互いに遠慮してしまい、後々になって「連絡してくれたらよかったのに」となるのである。
というのを疎遠というのかな。
漆黒の中で揺蕩う電飾ウキを見つめながら友人と(時々通りすがりのおじさんと)朝まで語り合った。

釣果は二人合わせて40匹ほど。さすがに家では食べきれないし、まずもってさばけるのか・・。
友人の提案で寿司屋を営むまた別の友人の店に持ち込んだ。
アジフライに塩焼き、南蛮漬けからなめろうまで。
次々と仕上げていく友人の手さばきに感心しながら、昔の無茶や馬鹿を思い出す。
「随分と立派になったね」としみじみ思ってしまう(笑)。
アジづくしの料理がテーブルを埋めたころ、これまた別の友人が暖簾をくぐって入ってきた。友人が友人を呼び結局ちょっとした同窓会のような賑わいになった。
友人に教えを乞うて釣った魚を友人の店で料理してもらい偶然出くわした友人に食べてもらったり、お返しにと店の料理をおごってもらったり、なんとも楽しく幸せな時間。
地元の友人がまるで家族のように大切に愛おしく感じられたのは、眠気のせいでは決してなかった。

僕たちはもっと関わっていくべきだ。
遠慮はいらない。