長岡是好日

2018.09.10

帰り道の風景


好き、というか私にとって大切な風景がある。
田園風景と信濃川、越後三山(八海山・中ノ岳・越後駒ヶ岳)を望む、川口町は越後川口SA(下り)の展望台から見る風景だ。
今の時期は黄金色に染まった田園が美しい。

学生時代は特に、社会人になってからも東京から新潟に帰るときはよく高速バスを使った。
安く帰れるのと、仕事で遅くなっても深夜発のバスなら翌早朝には長岡にたどり着く。
地元が恋しくなるたび、新宿や池袋のバス停に並んだ。
今思うと面白いくらい年中ホームシックの自分だった。

大学進学から社会人になり10年ほどを東京で過ごす中、何度行ったり来たりしただろう。
新幹線なら1時間半、バスでも翌朝には到着。本州を西と東で挟むとはいえ、思い立ったら帰ることのできる長岡。
僕よりもっと遠方から出てきている友人からうらやましがられることもあった。
確かにありがたいことだ。

そうは言っても長岡―東京間300キロは伊達ではない。
毎日毎週帰省するわけにもいかず、東京での学業や仕事があり、友人がいて、生活がある。
いつかは帰郷と思いながら季節はあっという間に過ぎていく。

高速バスの深夜便は、東京―新潟間を大体5時間で結んでくれる。
途中数回トイレ休憩で各所のSAに降りるのだが、大体最後に立ち寄るのが越後川口SAだ。
バスから降りてあくびをすると空気が清々しい。
ああ新潟に帰ってきたなと、嬉しくなる。
同時に、休みが終わればまた東京を歩くのだと、まだ着いてもいないのに寂しく思ったりもした。

田植え直前の水鏡から新緑、薄明にうっすら照らされる黄色、稲刈り後の土色と、展望台から見る風景はバスに乗り込むごとに移ろいでいく。

俺はいつ、本当に帰るんだろう。
そんなことを何度も思いながら見た景色だ。